不倫は、二人で一緒に築いた何をひそかに壊すのか、その責任は誰にあるのでしょうか?
不倫を性的な欲求だけで説明すると、配偶者が負う傷を理解するのは難しくなります。肉体関係そのものよりも大きな衝撃は、信じていた人が大事な事実を隠し、質問を避け、二人で交わした約束を破ったことから生まれます。昨日まで本当のことだと信じていた出来事が、いっぺんに疑わしくなるからです。
不倫の背景には、関係の中の対立、寂しさ、認められたいという欲求、衝動を抑えることの難しさ、新しい刺激を追い求める傾向など、さまざまな要因が考えられます。しかし、理由を理解することと、責任を免除することは違います。関係に問題があったとしても、不倫を選び、それを隠した責任は、その行動をとった人にあります。
配偶者が過去の記憶まで疑い、同じ質問を繰り返すのは、過剰な反応なのでしょうか?
不倫を知った人は、「あの日の言葉も嘘だったのか」「一緒に笑っていたときも、私をだましていたのか」と問い直します。信じていた人がこれほど大事な事実を隠してきたと知ると、一緒に過ごしてきたこれまでの時間すべてを、はじめから洗い直すことになります。眠れなくなる、同じ質問を繰り返す、スマホの通知にも体が緊張する、といった反応が現れることがあります。
このとき、傷ついた配偶者に「もういいかげん忘れて」と言ったり、「あなたにも原因があった」と言ったりすると、回復はいっそう難しくなります。繰り返される質問は、相手を苦しめるための行動というより、何が事実で何が嘘だったのかを、もう一度確かめようとする試みなのかもしれません。もちろん、傷ついたからといって暴言や暴力まで許されるわけではありませんが、混乱や怒りそのものは自然な反応です。
関係を回復するには、不倫をした理由を説明するより先に、責任を引き受けるどんな行動が必要なのでしょうか?
不倫をした人が寂しさや夫婦の対立ばかりを強調すると、自分の選択を正当化する言葉に聞こえます。まず、あったことを実際より小さく言ったり、事実と違うように言い換えたりせず、配偶者が受けた被害を認めなければなりません。第三者との関係を終わらせなければなりません。配偶者に何をどこまで知らせるかは二人で一緒に決め、決めたとおりに、あらためて包み隠さず知らせなければなりません。性病(性感染症)の検査のように、現実的な安全の問題も確かめる必要があります。
信頼は、一度謝っただけでは戻りません。不倫をした人は、配偶者と約束したことを守り、答えにくい質問を避けないようにしなければなりません。また、自分のついた嘘が明らかになるたびに、「あなたにも原因があった」と言って、その責任を配偶者に負わせてはいけません。配偶者がこうした姿を一度ではなく繰り返し見てはじめて、信頼は戻りうるのです。必要であれば、夫婦カウンセリングと個人カウンセリングをあわせて受けることもできます。
許すことと関係を続けることは、同じ決断なのでしょうか?
傷ついた人が関係を続けるか終わらせるかは、不倫をした人がせかしてよい問題ではありません。許しても一緒には暮らさないこともあれば、関係を続けていても、まだ許せていないこともあります。関係を続けるかどうかを決めるときは、傷ついた人の経済的な安全と子どものことを、あわせて考えなければなりません。不倫をした人が嘘を繰り返してきたかどうか、配偶者に暴力をふるったり、強圧的に接したりしたことがあるかどうかも、確かめなければなりません。
不倫を、単に性欲や夫婦のあいだの不満のせいにすると、不倫を選び、それを隠した人の責任がぼやけてしまいます。崩れたのは、お互いに守ると決めた信頼です。ですから回復も、不倫をした人が感情に訴える言葉からではなく、本当のことを話し、その結果を引き受ける行動から始まります。
執筆:金亨根(キム・ヒョングン)——ソウル依存症心理研究所 所長、現代精神分析教育院 院長。対象関係論にもとづく心理療法家、そしてスーパーバイザーとして、臨床と教育に携わって26年になります。ご相談は相談掲示板へ。
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